生命医科学研究科生命医科学研究科
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創薬再生科学研究室

創薬再生科学研究室

概要

私たちは、 オミックス、質量分析、幹細胞研究および遺伝子工学研究を通じて、様々な生命現象や病態を解明し、創薬や再生医療等製品開発につなげる研究を行っています。また臨床応用を目指して中枢神経系腫瘍などの難治性疾患に対する病態解明や創薬に関する研究も推進しています。

スタッフ

教授 川崎 ナナ(かわさき なな)  ResearchMap →  川崎ナナグループWEBサイト→
<略歴>
北海道大学薬学研究科修士課程修了 (1986年)。薬学博士。厚生労働省国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部研究員 (1986年)。ジョーンズホプキンス大学客員研究員 (1996年)。国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長 (2010年)。2015年より現職。

<メッセージ>
様々な糖タンパク質が疾患の治療や診断に利用されています。しかし、糖鎖の構造は複雑で解析が難しく、機能も十分に分かっていません。私たちは糖鎖の構造や機能を明らかにすることで、医療に貢献したいと考えています。

准教授 立石 健祐(たていし けんすけ)  ResearchMap →    脳神経外科グループWEBサイト→
                                                           脳腫瘍研究室 脳神経外科・創薬再生科学研究室(立石研)WEBサイト→  
<略歴>
香川大学医学部卒(2001年)。医学博士 (横浜市立大学、2013年)。横浜市立大学脳神経外科助教(2008年-2013年)。国立がん研究センター研究所脳腫瘍連携研究分野外来研究員 (2012年-2013年)。マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学脳腫瘍研究所 博士研究員(2013年-2016年)。横浜市立大学 脳神経外科助教(2016年-2021年)。横浜市立大学 脳神経外科診療講師 (2021年-2022年)。2022年より現職 (脳神経外科兼任)

<メッセージ>
難治性の中枢神経系悪性腫瘍に対して分子生物学的な手法による病態の解明と、病態機序に基づく新規治療法の開発を目指して新たに設立された研究室です。現役の脳神経外科医であると同時に基礎研究者としての二刀流の活動を通じて、トランスレーショナル研究を行い、研究成果を通じて臨床への還元を目指します。
准教授 菅原 亨(すがわら とおる)  ResearchMap →    菅原グループWEBサイト→
<略歴>
東京工業大学大学院生命理工学研究科博士課程修了(2006年)。理学博士。京都大学霊長類研究所研究員(2008年)。国立成育医療研究センター研究所研究員(2010年)。南カリフォルニア大学Postdoctoral fellow (2014年)。国立成育医療研究センター研究所研究員 (2017年)。2022年より現職。

<メッセージ>
幹細胞や遺伝子工学など最先端の技術を駆使して、疾患の成立機序の解明や細胞医薬品・再生医療等製品開発に貢献します。

研究内容

<川崎ナナグループ>

多くの糖タンパク質がバイオ医薬品や細胞加工製品の成分の一部として、また、診断薬の標的として、医療の場で役立っています。私たちは、抗体医薬品、iPS細胞由来細胞、腫瘍マーカーの標的分子の糖鎖の構造や機能を解析することを通じて、モダリティ開発に貢献します。


<立石健祐グループ>

中枢神経系悪性脳腫瘍は未だ人類が克服できていない難治性疾患の一つです。我々の研究グループは臨床と基礎研究を融合させたトランスレーショナル研究手法を主に用いて、患者さんの手術検体をもとにオミクス解析などにより分子生物学的な側面から腫瘍形成や進展機序の解明を図ることを目指しています。特に患者由来脳腫瘍細胞株の樹立では世界有数の経験を有しており、これらの細胞株を駆使することで現在の治療法の課題を追求するとともに、その課題を克服する治療法を開発を目指します。さらに提唱した治療法を臨床研究につなげることを目指します。このように臨床から基礎、また基礎から臨床へとつなげる研究を行うことで、脳腫瘍患者さんの治療成績の向上を図ることを最終目標に掲げ研究活動を行っています。

<菅原亨グループ>

幹細胞と遺伝子工学を融合し、疾患の成立機序の解明や細胞医薬品・再生医療等製品の社会実装を支える基盤技術の開発に貢献します。多能性幹細胞由来の疾患モデルやゲノム編集技術を駆使して、膨大なゲノム情報の中に埋もれた疾患・病態に影響を与える機能的に意味のある変異を特定し、疾患との因果関係を実証します。オミックス解析や遺伝子操作技術を用いて、細胞医薬品や再生医療等製品の機能性・安全性の評価技術の開発を目指した研究をおこないます。

主要文献(Selected Publications)

‣ Kazumasa Kimura, Takumi Koizumi, Takaya Urasawa, Yuki Ohta, Daisuke Takakura, Nana Kawasaki: Glycoproteomic analysis of the changes in protein N-glycosylation during neuronal differentiation in human-induced pluripotent stem cells and derived neuronal cells. Sci. Rep. (2021) 11:11169. doi.org/10.1038/s41598-021-90102-z

‣ Sasame J, Ikegaya N, Kawazu M, Natsumeda M, Hayashi T, Isoda M, Satomi K, Tomiyama A, Oshima A, Honma H, Miyake Y, Takabayashi K, Nakamura T, Ueno T, Matsushita Y, Iwashita H, Kanemaru Y, Murata H, Ryo A, Terashima K, Yamanaka S, Fujii Y, Mano H, Komori T, Ichimura K, Cahill DP, Wakimoto H, Yamamoto T and Tateishi K. HSP90 inhibition overcomes resistance to molecular targeted therapy in BRAFV600E mutant high-grade glioma. Clin Cancer Res (in press).

Tateishi K, Miyake Y, Kawazu M, Sasaki N, Nakamura T, Sasame J, Yoshii Y, Ueno T, Miyake A, Watanabe J, Matsushita Y, Shiba N, Udaka N, Ohki K, Fink AL, Tummala SS, Natsumeda M, Ikegaya N, Nishi M, Ohtake M, Miyazaki R, Suenaga J, Murata H, Aoki I, Miller JJ, Fujii Y, Ryo A, Yamanaka S, Mano H, Cahill DP, Wakimoto H, Chi AS, Batchelor TT, Nagane M, Ichimura K and Yamamoto T. A Hyperactive RelA/p65-Hexokinase 2 Signaling Axis Drives Primary Central Nervous System Lymphoma. Cancer Res. 2020;80:5330-5343.

Sugawara T, Miura T, Kawasaki T, Umezawa A, Akutsu H. The hsa-miR-302 cluster controls ectodermal differentiation of human pluripotent stem cell via repression of DAZAP2. Regen Ther. 2020 May 25;15:1-9.

Shi Y, Lin S, Staats KA, Li Y, Chang WH, Hung ST, Hendricks E, Linares GR, Wang Y, Son EY, Wen X, Kisler K, Wilkinson B, Menendez L, Sugawara T, Woolwine P, Hua ng M, Cowan MJ, Ge B, Koutsodendris N, Sandor KP, Komberg J, Vangoor VR, Senthilkumar K, Hennes V, Seah C, Nelson AR, Cheng TY, Lee SJ, August PR, Chen JA, Wisniewski N, Hanson-Smith V, Belgard TG, Zhang A, Coba M, Grunseich C, Ward ME, van den Berg LH, Pasterkamp RJ, Trotti D, Zlokovic BV, Ichida JK. Haploinsufficiency leads to neurodegeneration in C9ORF72 ALS/FTD human induced motor neurons. Nat Med. 2018 Mar;24(3):313-325.

‣ Zhao Z, Sagare AP, Ma Q, Halliday MR, Kong P, Kisler K, Winkler EA, Ramanathan A, Kanekiyo T, Bu G, Owens NC, Rege SV, Si G, Ahuja A, Zhu D, Miller CA, Schneider JA, Maeda M, Maeda T, Sugawara T, Ichida JK, Zlokovic BV. Central role for PICALM in amyloid-β blood-brain barrier transcytosis and clearance. Nat Neurosci. 2015 Jul;18(7):978-987.

 

バイオ医薬品の品質管理戦略 クオリティ・バイ・デザインを取り入れた製造・品質管理 第2版 川崎ナナ、石井明子 2020年 じほう



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