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免疫生物学研究室

免疫生物学研究室

概要

私たちの研究室では腸管免疫系の仕組みを明らかにするため、宿主側および腸内共生細菌側の両面からアプローチしています。宿主側では腸管の上皮細胞や抗原の取り込みに重要なM細胞の機能や分化に着目し、一方で腸内共生細菌が産生する代謝物が腸管免疫に及ぼす影響も解析しています。また、免疫系による巧妙な自己と非自己の識別機構が、どのようにして成立・維持され、自己免疫疾患の発症や癌免疫の制御を行っているのか、明らかにすることを目指します。
 大学院客員教授 秋山 泰身(あきやま たいしん) ResearchMap → 
<略歴>
1987年 広島大学医学部総合薬学科卒業
1992年 京都大学大学院薬学研究科修了(薬学博士)
1993年 ベイラー医科大学博士研究員
1997年 日本学術振興会特別研究員(東京大学医科学研究所)
2000年 慶應大学理工学部専任講師
2002年 東京大学医科学研究所講師
2009年 東京大学医科学研究所准教授
2017年 理化学研究所 チームリーダー
2019年 横浜市立大学大学院客員教授を兼任
<メッセージ>
秋山ラボ (https://www.ims.riken.jp/labo/28/index_j.html) は家族的な雰囲気がお好みの方にマッチするように思います。ご興味がある方は、taishin.akiyama@riken.jp までお気軽にご連絡ください。
 大学院客員准教授 佐藤 尚子(さとう なおこ)
  <略歴>
2007年 東京大学大学院新領域創成科学研究科修了(生命科学博士)
2007年 フランス政府給費生(パスツール研究所)
2008年 上原記念生命科学財団リサーチフェロー(パスツール研究所)
2009年 日本学術振興会海外特別研究員(パスツール研究所)
2011年 パスツール研究所 Assistant professor
2015年 理化学研究所 研究員
2019年 理化学研究所 専任研究員
2024年 理化学研究所 ECLユニットリーダー
2024年 横浜市立大学大学院客員准教授を兼任
<メッセージ>
免疫が関与する病気やその制御、腸内細菌と免疫に興味のある意欲ある学生の研究室への参加を期待しています。
 
大学院客員助教 秋山 伸子(あきやま のぶこ)  
 <略歴> 1991年 京都大学薬学部製薬化学科卒業、東レ株式会社基礎研究所研究員
1995年 ベイラー医科大学テクニシャン
1997年 東京大学薬学部 CREST 研究補助員・技術員
2004年 東京大学薬学研究科にて博士号取得(薬学博士)、理化学研究所研究員
2008年 日本学術振興会特別研究員 RPD(理研・東京大学医科学研究所)
2017年 理化学研究所(横浜)上級研究員
2023年 横浜市立大学大学院客員助教を兼任
<メッセージ>
免疫学の研究をしたい方、新しい発見に心を震わせる経験を一緒にしましょう!全力でサポートします。

秋山グループ

1.自己免疫疾患の発症を抑制する胸腺上皮細胞に関する研究
世界人口の約10%が自己免疫疾患(関節リウマチなど)に罹患していると考えられていますが、その原因のほとんどは不明です。自己免疫疾患は、自分の組織に対する免疫応答が起きてしまった状態です。そのため、その治療や予防を行うためには、健康な状態で、どのような機構で自分の組織への免疫応答が回避されているのか、詳しく解明することが重要です。私たちは、その機構に重要な細胞である、胸腺上皮細胞の機能や分化をコントロールする機構を調べています。そして、その異常がどのような自己免疫疾患を起こすのか、明らかにしたいと考えています。

2. 胸腺上皮細胞は、癌免疫もコントロールする
さらに最近、胸腺上皮細胞が癌免疫を制御することがわかってきました。そこで私たちは、胸腺上皮細胞の機能を利用して、自己免疫を抑制したり、癌免疫を亢進したりする方法の開発を目指しています。
*詳しくは研究室のホームページをご覧ください(http://www.ims.riken.jp/labo/28/research_j.html)。


佐藤グループ

1.自然リンパ球の機能と役割解析 
自然リンパ球(Innate lymphoid cells: ILCs)は2008年に最初に発見・報告された免疫細胞で、体内の異物や感染症に対する初期の防御に関与します。ILCsは特定のサイトカインを分泌し、他の免疫細胞の活性化や炎症の調節に寄与することで様々な病気、例えばアレルギーやがん免疫、感染防御などの多くの応答に関与しますが、その制御や機能についてはまだ明らかになっていないことが多くあります。私たちは疾患に関与する自然リンパ球について、組織や臓器ごとの役割や組織を広く空間と捉えることで細胞間の相互作用に着目し研究を行っています。
 
2.粘膜免疫システムの総合理解と漢方薬による免疫応答制御研究
粘膜組織は感染や病原体からの防御の第一線を担う要になる重要な免疫機構をもち、末梢の免疫応答とは異なり特殊なシステムにより精密に制御されています。この粘膜組織におけるこの免疫応答システムの総合理解を深めることで、消化管感染症や自己免疫疾患などの疾患への理解につながり、過剰な免疫応答や自己免疫疾患の発症を抑制する新たなメカニズムを解明することができると期待されます。また、漢方薬による免疫応答制御にも興味を持って研究を進めています。
 
3.細菌叢により誘導・制御を受ける疾患解析
細菌叢が宿主の免疫応答や生理機能に影響を与えることが明らかになっていますが、その影響が疾患にどのような役割を果たしているかはまだ解明されていません。この研究を通じて、特に腸内細菌叢が関与する疾患(炎症性腸疾患、自己免疫疾患、代謝性疾患など)の解明につながると期待されます。細菌叢の組成や機能と疾患発症の関係を明らかにすることで、細菌叢の介入による治療法の開発につなげることが期待されます。

主要文献(Selected Publications)

1. Mori A., Ohno H. and ※Satoh-Takayama N. Disease pathogenesis and barrier functions regulated by group 3 innate lymphoid cells. Seminars in Immunology. 2024 Feb.

2. Shi Z., Takeuchi T., Nakanishi Y., Kato T., Beck K., Nagata R., Kageyama T., Ito A., Ohno H. and ※ Satoh-Takayama N. Dietary derived micronutrients modulate immune responses through innate lymphoid cells. A Japanese Herbal formula, Daikenchuto, alleviates experimental colitis by reshaping microbial profiling and enhancing group 3 innate lymphoid cells. Frontiers in Immunology. 13: 903459, 2022.

3. ※Satoh-Takayama N., Kato T., Motomura Y., Kageyama T., Taguchi-Atarashi N., Daitoku-Kinoshita R., Kuroda E., Di Santo JP., Mimuro H., Moro K. and Ohno H. Bacteria-induced group 2 innate lymphoid cells in the stomach provide immune protection through induction of IgA. Immunity. 52: 635-649, 2020.

4. Satoh-Takayama N., Vosshenrich CA., Lesjean-Pottier S., Sawa S., Lochner M., Rattis F., Mention JJ., Thiam K., Cerf-Bensussan N., Mandelboim O., Eberl G. and Di Santo JP. Microbial flora drives interleukin 22 production in intestinal NKp46+ cells that provide innate mucosal immune defense. Immunity. 29: 958-70, 2008.



研究部門