研究科の特色
基礎と応用
タンパク質やDNAなどの生体高分子と、それらが集合して形成される生体超分子複合体の立体構造を原子レベルで解明し、その高次構造に基づいて機能を解析する構造生物学は、近年急速に進展しました。また細胞生物学においても、細胞内シグナル伝達に加えて、細胞同士のコミュニケーションや秩序形成などの細胞間ネットワークも分子レベルで理解できるようになってきました。さらに生殖細胞の発生や再生医学やiPS細胞などに関連するタンパク質の同定、さらには脳機能の分子メカニズムの研究等医科学研究においても、分子レベルでの理解が急速に進行しています。特に、様々なゲノム配列が解析され、細胞機能や再生医学や脳機能に関連するゲノム解析や、さらにはエピゲノム解析の急速な進展により、遺伝子産物としてのタンパク質の立体構造解析から、疾患に関連する変異がタンパク質中の機能性アミノ酸の空間的な配置の変化により理解できるようになり、合理的な創薬等の応用が大きく期待されています。本研究科では既存の物理学、化学、生物学、遺伝学,情報科学をより一層総合化し、その手法を細胞生物学を含めた先端医科学研究へ応用展開できる教育体制を構築していきます。
連携大学院
本研究科のメインキャンパスでは、市大専任教員の研究室と理化学研究所客員教員の研究室が、理研横浜研究所に隣接した鶴見キャンパスの同一の建物内で教育と研究を行うという、全く新しいタイプの大学院を構築しています。また、生命科学の出口を見据えた連携をより広げるために産業技術総合研究所の生命科学関連研究者も客員教員として参加しています。
技術開発
本研究科では生命医科学研究の基盤となるイメージング技術、新規生体計測技術、機能性タンパク質同定チップ、生体超分子複合体の高分解能・超微量分析技術、合理的創薬を目指した網羅的スクリーニング技術、生体機能調節分子の設計技術、効率的なゲノム工学を行うための次世代ゲノム・遺伝子設計技術、細胞ゲノム工学技術、生体超分子大量発現技術、エピゲノム制御技術など産業社会に大きく貢献できる様々な新技術の開発も推進していきます。さらに、教育における産学連携推進の観点から、客員部門として理研や産総研のみならず、民間会社の研究員、弁理士等を客員教員として招聘し、ベンチャー起業論やマネジメント教育を含めた戦略的な教育研究を遂行しています。