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イオン濃度を測る−蛍光計測(6月1日)

プログラム担当研究室

  • 生体機能医科学研究室

 細胞内の分子や物質の位置や量を知るにはどのような方法があるでしょうか?
従来細胞内でタンパク質がどこにいるかを調べるために行われてきた方法は、細胞を化学物質でスライドガラス上に固定して特異的な抗体で染めるというものでした。近年蛍光タンパク質を目的のタンパク質と融合させて細胞に導入することで、生きた細胞の中でのタンパク質の居場所を知ることもできるようになってきました。ではイオンについてはどうでしょう?

まず、なぜイオン濃度を測る必要があるのでしょうか?
イオンは神経伝達に代表されるように「刺激」によって濃度が変化します。イオンの濃度を変化させることで「刺激」を間接的に伝達する役割を果たします。この「刺激」の伝達が最終的に細胞応答へと関わっていくのです。中でもカルシウムは情報伝達物質として働き、その細胞内での挙動は大きな興味の対象となっています。
これまで細胞内のイオン濃度の測定は放射性同位体を用いて細胞への取り込み量を測定する、つまり細胞全体の濃度変化しか知ることができませんでした。細胞の中でイオンは均一に存在するのか? − この疑問に応えるため蛍光化合物を利用した蛍光顕微鏡の開発が進み、それによって細胞内のイオン濃度勾配の研究は大きく発展してきました。イオン感受性の蛍光化合物を細胞に導入することで、蛍光を観察すれば細胞の中のイオン濃度変化を知ることができます。また生きた細胞の経時変化を観察するとイオン濃度の変化を追跡できるようになります。
ここでもまた蛍光タンパク質を用いた蛍光共鳴エネルギー移動法(Fluorescence Resonance Energy Transfer; FRET)によってカルシウムイオンの濃度を測る技術が開発されています。

今回の体験コースではこのような技術開発を実際に目で見てもらうために、蛍光分光器を用いていろいろな条件下での蛍光指示薬の蛍光スペクトルを測定します。また蛍光の変化がどうして起こるのか、コンピューターグラフィックスで化合物やタンパク質の構造を見ながら解説したいと思います。実際の実験では:

1. いろいろな色の蛍光タンパク質の蛍光スペクトルを測定するとともにイメージアナライザーによる蛍光検出を行う。
2. pHの変化によるpH指示薬の色の変化と蛍光指示薬の蛍光スペクトルの変化をみる。
3. カルシウムイオンの濃度変化による蛍光指示薬の蛍光スペクトルの変化を測定する。
4. 蛍光タンパク質を用いたFRETの原理を学び、蛍光スペクトルを観察する。

を体験していただきます。

蛍光タンパク質のいろいろ

 もともとは下村脩博士によってオワンクラゲから分離・抽出された緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein; GFP)ですが、ロジャー・チェン博士をはじめとするいろいろなグループによって遺伝子工学を用いた改変体の作製がなされ、様々な種類の蛍光タンパク質が開発されています。