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タンパク質のバイオインフォマティクス/分子動力学シミュレーション最前線:スパコンを使ってみよう(5月12日)

プログラム担当研究室

  • 生命情報科学研究室

タンパク質のバイオインフォマティクス/分子動力学シミュレーション最前線:スパコンを使ってみよう

タンパク質はわれわれの体を作り,動かしている基本的な分子です。生命の仕組みを解き明かすには,タンパク質をよく知ることが必要です。また,タンパク質の構造・機能を理解することによって,病気の原因を特定したり,効果的な治療薬を開発したりすることも期待できます。そのため,本シリーズで体験できるものをはじめとして,様々な実験手法が開発・応用され,多くのタンパク質の正体が明らかにされてきています。
一方,コンピュータを利用した研究も盛んに行なわれています。これらは大きく,バイオインフォマティクスと分子動力学シミュレーションに分けることができ,膨大な実験データから意味のある情報を抽出したり,実験だけではわからないタンパク質の特徴を明らかにしたりすることができます。このようなコンピュータを用いた研究が可能となったのは,近年の劇的なコンピュータの性能向上のおかげです。一昔前,スーパーコンピュータを使わないとできなかったような計算が1台のパソコンでできるようになりました。とはいえ,タンパク質のような巨大で複雑な分子を相手に1台のパソコンでやれることには依然として限界があり,最先端の研究の多くでは高性能なスーパーコンピュータが利用されています。
本プログラムでは,バイオインフォマティクスの実習とスーパーコンピュータを用いた分子動力学シミュレーションの実行を通して,コンピュータを用いたタンパク質の研究の最前線を体験していただきます。

本プログラムで予定している内容は以下の通りです。

並列計算スーパーコンピュータCray XE6を見てみよう

スーパーコンピュータ、または、スパコンと聞いて、具体的にどのようなものなのかイメージできる人はあまりいないのではないでしょうか?そもそもスパコンとパソコンはどこが違うのでしょうか?本専攻に設置されている並列計算スーパーコンピュータCray XE6を見学して、パソコンとの違いを実感してみましょう。



バイオインフォマティクスを活用してみよう: データベース検索と配列解析

近年の実験技術の進歩に伴い,タンパク質に関する情報が大量に蓄積されています。これらの多くはデータベースとしてインターネット上に公開されており,自由にデータを利用することができます。ただし,データを取得したからといって,知りたいことがすぐにわかるわけではありません。意味のある情報を得るには,膨大なデータの中から必要なものを選別し,それぞれの目的に適った解析を行う必要があります。バイオインフォマティクスは,このような膨大な情報から生物学的に意味のある情報を抽出することを目的とした学問です。

当日は,細菌がアミノ酸を細胞内に取り入れるときに働くタンパク質である「リジン/アルギニン/オルニチン結合タンパク質LAO」を取り上げ,その立体構造を用いた解析を通じてバイオインフォマティクスの一端を体験していただきます。 LAOタンパク質にリジンなどのアミノ酸が結合すると,その立体構造が大きく変化することが知られています。 LAOタンパク質の立体構造情報をデータベースから探し出し,どのような構造の変化が起きているのかを実際に調べてみましょう。


図1:LAOタンパク質のデータベース検索と立体構造解析の結果

スパコンを使ってみよう: LAOタンパク質の分子動力学シミュレーション

 タンパク質のシミュレーションを行うには,タンパク質の立体構造の情報が必須です。さらに,タンパク質が存在する生体中の環境を適切に再現してやる必要があります。多くのタンパク質は水溶性であり,水の中でないと立体構造を安定に保ったり,正しく機能を発揮したりすることができません。したがって,タンパク質のシミュレーションを行う際には,図3のように,タンパク質をたくさんの水分子の中に埋め込んでやらなければなりません。このようにして作成したモデル系には5万個以上の原子が含まれており,スパコンを使わないと現実的な時間の範囲内で意味のあるシミュレーションを終わらせることができません。

当日は,LAOタンパク質の立体構造情報の取得から始めて,実際に図3のようなモデル系を作成し,スパコンでシミュレーションを実行していただきます。さらに,計算で得られた結果を三次元グラフィックスで表示し,LAOタンパク質がダイナミックに揺らぐ様子を観察してみましょう。LAOタンパク質にアミノ酸が結合するときにタンパク質がどのように動くのかを想像しながら,分子の世界を体感してみてください。


図3:たくさんの水分子の中に埋め込まれたLAOタンパク質