生命医科学研究科 構造生物学研究室 旭 紀久子さんが、日本結晶学会年会でポスター賞を受賞!
2024.12.19
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生命医科学研究科 博士前期課程2年 構造生物学研究室所属の旭 紀久子さんが、2024年11月8日〜10日に名古屋大学 東山キャンパスで開催された令和6(2024)年度日本結晶学会年会において、「超好熱菌Aquifex aeolicus由来膜内切断プロテアーゼRsePの基質結合状態のクライオ電子顕微鏡構造」について発表し、 ポスター賞を受賞しました。
受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程2年
構造生物学研究室所属
旭 紀久子 さん
指導教員
大学院生命医科学研究科
構造生物学研究室 禾 晃和 准教授
受賞内容
発表タイトル
「超好熱菌Aquifex aeolicus由来膜内切断プロテアーゼRsePの基質結合状態のクライオ電子顕微鏡構造」
生命医科学研究科 博士前期課程2年
構造生物学研究室所属
旭 紀久子 さん
指導教員
大学院生命医科学研究科
構造生物学研究室 禾 晃和 准教授
受賞内容
令和6(2024)年度 日本結晶学会年会
ポスター賞
発表タイトル
「超好熱菌Aquifex aeolicus由来膜内切断プロテアーゼRsePの基質結合状態のクライオ電子顕微鏡構造」
ー今回受賞した研究内容について旭さんに解説していただきました。
細胞を取り囲む細胞膜上には、様々な機能を持つ膜タンパク質が存在します。それらの機能の制御や品質管理には、膜内切断プロテアーゼによる膜内タンパク質切断が重要な役割を担っています。膜内切断プロテアーゼは、ヒトから細菌まで幅広い生物種に存在し、疎水性環境下である細胞膜内部で基質となるタンパク質を加水分解するという、ユニークな特性を持つプロテアーゼです。
RsePは大腸菌などの細菌に存在する膜内切断プロテアーゼで、多数の膜タンパク質を切断することで、細胞外からのストレスに対する応答や細胞内への鉄の取り込みなど多彩な生命現象を制御しています。これまでX線結晶構造解析や生化学的な機能解析から、RsePが基質を取り込み切断する過程では、構造変化が起きる可能性が考えられていました。しかし、実際にその様子を観測した例はなく、基質との結合様式についても未解明のままでした。
そこで本研究では、RsePによる基質取り込みと切断の分子機構の解明を目指し、構造多型の解析が可能なクライオ電子顕微鏡を用いて、RsePの構造変化の検証に取り組みました。結核菌などの病原菌に存在するRsePの類縁タンパク質は、人への感染にも深く関与することが報告されています。今回発表した研究が発展し、基質の取り込みや識別のメカニズムを解明できれば、細菌感染症の治療薬に応用できるようなRsePに対する阻害剤の設計にもつながると期待しています。
RsePは大腸菌などの細菌に存在する膜内切断プロテアーゼで、多数の膜タンパク質を切断することで、細胞外からのストレスに対する応答や細胞内への鉄の取り込みなど多彩な生命現象を制御しています。これまでX線結晶構造解析や生化学的な機能解析から、RsePが基質を取り込み切断する過程では、構造変化が起きる可能性が考えられていました。しかし、実際にその様子を観測した例はなく、基質との結合様式についても未解明のままでした。
そこで本研究では、RsePによる基質取り込みと切断の分子機構の解明を目指し、構造多型の解析が可能なクライオ電子顕微鏡を用いて、RsePの構造変化の検証に取り組みました。結核菌などの病原菌に存在するRsePの類縁タンパク質は、人への感染にも深く関与することが報告されています。今回発表した研究が発展し、基質の取り込みや識別のメカニズムを解明できれば、細菌感染症の治療薬に応用できるようなRsePに対する阻害剤の設計にもつながると期待しています。
本受賞について、旭さんと指導教員の禾先生からコメントをもらいました。
受賞者: 旭 紀久子 さんのコメント
数あるポスター発表の中から名誉ある賞に選出していただき、大変光栄に思います。日頃から親身になってご指導くださる禾晃和准教授をはじめ、共同研究者の皆様や構造生物学研究室の皆様、お力添えいただきました全ての方々に厚く御礼申し上げます。
発表当日は、構造生物学の専門家の方々との議論が白熱し、非常に有意義な時間となりました。また、多角的な視点から今後の研究活動につながるアドバイスをいただき、より一層研究意欲をかきたてられました。この貴重な経験を励みに、今後も精進しようと思います。
発表当日は、構造生物学の専門家の方々との議論が白熱し、非常に有意義な時間となりました。また、多角的な視点から今後の研究活動につながるアドバイスをいただき、より一層研究意欲をかきたてられました。この貴重な経験を励みに、今後も精進しようと思います。
指導教員:禾 晃和 准教授のコメント
受賞おめでとうございます。結晶学会でのポスター賞への挑戦は昨年に続いて2回目となりましたが、この1年間の頑張りで研究が大きく進展したことで、今回は審査員の方々にも高く評価してもらえたのだろうと思います。卒業までの時間は限られていますが、審査の場でもらったコメントなども参考に、今後もさらに研究を展開してくれることを期待しています。受賞に至った旭さんの研究は、構造エピゲノム科学研究室の明石知子教授、田尻道子特任助手を始めとして、学内外の多数の研究者の方々にご協力いただいて進めているものです。この場をお借りして共同研究者の皆様にお礼申し上げます。