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生命医科学研究科 分子細胞医科学研究室 峯川麻里さんが、第76回日本細胞生物学会大会 で学生優秀ポスター発表賞を受賞!

2024.08.02
  • TOPICS
  • 研究
  • 学生の活躍
生命医科学研究科 博士後期課程2年(分子細胞医科学研究室所属)の峯川麻里さんが、2024年7月17日(水)~19日(金)、つくば国際会議場で開催された第76回日本細胞生物学会大会で「ゴルジ体上で微小管の架橋を促進するMTCL2は、小脳顆粒細胞が示す双極性から多極性への樹状突起伸長極性の変化を促進している」について発表し、学生優秀ポスター発表賞を受賞しました。おめでとうございます!峯川さんの発表についてご紹介します。


受賞者
生命医科学研究科 博士後期課程2年
分子細胞医科学研究室所属
  峯川   麻里みねかわ まり さん

指導教員
大学院生命医科学研究科
分子細胞医科学研究室  鈴木 厚 教授

受賞内容

第76回日本細胞生物学会大会
学生優秀ポスター発表賞


発表タイトル
「ゴルジ体上で微小管の架橋を促進するMTCL2は、小脳顆粒細胞が示す双極性から多極性への樹状突起伸長極性の変化を促進している」

ー今回受賞した研究内容について峯川さんに解説していただきました。

中枢神経系における神経ネットワークの適切な発達には、神経細胞の形態形成が不可欠です。特に、情報を受け取る役割を持つ樹状突起が適切な長さと本数で正しい方向に発達することの重要性が近年注目されています。当研究室では、ゴルジ体に局在する微小管制御タンパク質MTCL2 (microtubule cross-linking factor 2)を発見し、すでに報告している(http://www-mls.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/news/20220826suzukiatushi.html)のですが、今回このMTCL2が、厳密に制御された樹状突起の発達に関与していることを見出し、その作用メカニズムの一端を解明しました。
本研究では、小脳顆粒細胞を用いたin vitroの培養系を使用し、免疫蛍光染色およびMTCL2ノックダウン・レスキュー実験を実施しました。その結果、樹状突起の発達にはMTCL2のゴルジ結合能および微小管結合能が不可欠であることが明らかになりました。さらに詳細な解析により、MTCL2が神経細胞内の核周囲に存在する微小管ネットワークである微小管ケージに局在していることが判明しました。MTCL2を欠損させると、微小管ケージに沿ったゴルジ体の位置決定に異常が生じました。この異常は、野生型MTCL2の発現で回復しましたが、ゴルジ体結合能または微小管結合能のいずれかを失ったMTCL2変異体の発現では回復しませんでした。以上の結果は、MTCL2が微小管ケージにゴルジ体を結合させることで、ゴルジ体の位置を制御し、樹状突起の伸長方向を決定していることを示唆しています。
この研究は、これまで未解明であった樹状突起の発達に関する新たな知見を提供するものであり、今後の神経科学研究において重要な基盤となることが期待されます。

本受賞について、峯川さんと指導教員の鈴木先生からコメントをもらいました。

受賞者: 峯川 麻里さんのコメント

この度、数あるポスターの中から学生優秀ポスター発表賞に選んでいただき、とても光栄です。鈴木先生のご指導と研究室の皆様のサポートがあってこその受賞だと感じています。心から感謝申し上げます。
この発表を通して、自分の研究について多様な視点からアドバイスをいただくことができ、大変勉強になりました。学会で受けた刺激を糧に、さらに成長していきたいと思います。

指導教員:鈴木厚教授のコメント

今回の発表内容は、生後間もないマウスの小さい小脳から神経細胞を取り出し、培養し、200本近い樹状突起の長さや伸長方向を定量化するという気の遠くなるような作業を何回も繰り返す中で明らかとなってきた知見です。峯川さんだから見出すことができた今回の発見がプロの研究者に高く評価されたことは大きな自信にしてよいと思います。また、今回のポスター発表では3分間という短い時間で複雑な研究内容を的確に説明する必要がありました。見事、その難題をこなすことができたという点でもこれまた自信になるでしょう。本当におめでとうございます。私もうれしく思います。これをバネに、さらなる成長・飛躍を期待します。

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