生命医科学研究科 吉澤竜哉さんが筆頭著者の論文がJ. Chem. Info. Model.に掲載されました!
2022.11.24
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- 研究
- 学生の活躍
インシリコ創薬に向けた分子構造生成AIの更なる発展に貢献
生命医科学研究科 生命情報科学研究室 博士前期課程1年の吉澤竜哉さんらの研究グループは、多数の性質を同時に満たす分子を設計できる分子構造生成AIを開発し、開発した手法により計算機上で選択的阻害剤の設計が可能であることを示しました。その論文が、米国化学会が出版している「Journal of Chemical Information and Modeling」誌に掲載されました。
論文著者
生命医科学研究科 博士前期課程1年
生命情報科学研究室所属
吉澤 竜哉さん
指導教員:大学院生命医科学研究科
生命情報科学研究室 寺山慧准教授
発表題目
「Selective Inhibitor Design for Kinase Homologs Using Multiobjective Monte Carlo Tree Search」
(和訳:多目的モンテカルロ木探索を用いたキナーゼ選択的阻害剤の設計)
掲載雑誌
Journal of Chemical Information and Modeling
生命医科学研究科 博士前期課程1年
生命情報科学研究室所属
吉澤 竜哉さん
指導教員:大学院生命医科学研究科
生命情報科学研究室 寺山慧准教授
発表題目
「Selective Inhibitor Design for Kinase Homologs Using Multiobjective Monte Carlo Tree Search」
(和訳:多目的モンテカルロ木探索を用いたキナーゼ選択的阻害剤の設計)
掲載雑誌
Journal of Chemical Information and Modeling
発表内容
—今回の研究内容について吉澤さんに解説していただきました。
医薬品候補化合物の探索は、標的タンパク質に対する選択性、薬物動態や毒性など、様々な基準を同時に満たすことが求められることから、多目的最適化問題*1とみなすことができます。 近年、人工知能の発展に伴って分子構造生成AIの開発が活発に行われており、それらを創薬分野に応用することで、有望な医薬品候補の提案に成功した事例が複数報告されています。しかしそれらの研究では、医薬品開発において考慮すべき標的タンパク質に対する選択性が十分に考慮されておらず、また、分子構造生成AIによる選択的阻害剤の設計が可能かどうかについては、依然として不明でした。
そこで本研究では、標的タンパク質への阻害活性、選択性、薬物動態、毒性などの性質が同時に最適化された阻害剤を設計することを目的として、多目的最適化問題に適用可能な強化学習に基づく分子構造生成AIを開発しました。本手法を用いて、9種類のタンパク質に対する阻害活性、3種類の薬物動態に関わる性質、その他6種類の医薬品らしさに関わる性質からなる18種類の性質を最適化しながら、阻害剤候補化合物を提案することに成功しました。
本研究の成果は、分子構造生成AI開発の更なる発展に貢献すると期待できます。
そこで本研究では、標的タンパク質への阻害活性、選択性、薬物動態、毒性などの性質が同時に最適化された阻害剤を設計することを目的として、多目的最適化問題に適用可能な強化学習に基づく分子構造生成AIを開発しました。本手法を用いて、9種類のタンパク質に対する阻害活性、3種類の薬物動態に関わる性質、その他6種類の医薬品らしさに関わる性質からなる18種類の性質を最適化しながら、阻害剤候補化合物を提案することに成功しました。
本研究の成果は、分子構造生成AI開発の更なる発展に貢献すると期待できます。
(用語説明)
*1 多目的最適化問題:複数の競合する目的関数を同時に最大化(或いは最小化)する最適解を求める問題
論文情報(DOI):https://doi.org/10.1021/acs.jcim.2c00787
*1 多目的最適化問題:複数の競合する目的関数を同時に最大化(或いは最小化)する最適解を求める問題
論文情報(DOI):https://doi.org/10.1021/acs.jcim.2c00787
吉澤さんのコメント
本研究を発表するにあたり、研究に必要な技術の習得や論文執筆等の様々な面で苦戦しましたが、無事に論文を出版することができ、大変嬉しく思います。日頃よりご指導いただいている寺山先生をはじめとして、共著者の先生方、生命情報科学研究室の皆様に、深く感謝申し上げます。今後も本分野の発展に貢献できるよう尽力したいと思います。
指導教員:寺山慧准教授のコメント
吉澤さん、論文掲載おめでとうございます!
本研究は、吉澤さんが学部4年生の卒業研究で取り組んだ成果が中心となっており、学部生でも十分高いレベルの研究が可能であることを証明してくれました。短い期間で、研究から論文執筆・リバイス対応は大変だったと思いますが、貴重な経験になったかと思います。これからもこの経験を生かして、楽しみながら、さらに研究を発展させてくれるものと期待しています。また、共同研究者の先生方には多くのサポートを頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。
本研究は、吉澤さんが学部4年生の卒業研究で取り組んだ成果が中心となっており、学部生でも十分高いレベルの研究が可能であることを証明してくれました。短い期間で、研究から論文執筆・リバイス対応は大変だったと思いますが、貴重な経験になったかと思います。これからもこの経験を生かして、楽しみながら、さらに研究を発展させてくれるものと期待しています。また、共同研究者の先生方には多くのサポートを頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。